重ね煮健康料理が大切にしている【4つの指針】。
これまで
①食性(しょくせい)
②一物全体食(いつぶつぜんたいしょく)
についてお話してきました。
今日は3つめの「身土不二(しんどふじ)」について。
身は「心身」、土は「環境風土」を表します。
そして不二、二つでない、つまりバラバラなものでなく密接につながっているという意味です。
私たちの身体と生まれ育った土地には密接なつながりがあります。
生まれ育った土地でとれたものをいただくこと。
赤道近くの暑い地域の人たちは、
暑さから身を守るため、
身体を冷やす陰性の香辛料や砂糖を使います。
宗教上の理由だけでなく、陽性の肉を食べない「菜食主義者」が多いのも
この地域の特徴です。
寒い地域に住む人たちは、
寒さから身を守るため、肉を食します。
例えば、穀物や野菜が育たない地域に暮らすエスキモーは
アザラシの肉を食べて生命をつないでいます。
海の海藻を餌とするアザラシの肉を主食としても
動脈硬化や高血圧の人が少ないのは、現代の栄養学に反していますが
身土不二の視点からは納得できるものなのです。
「穀物」に関して言えば
湿度が高く日照時間に恵まれた地域には「稲文化」
乾燥した地域には「小麦文化」が発展しました。
ちなみに世界の3大穀物はとうもろこし・小麦・米です。
温暖で水に恵まれた日本は稲文化。
小麦を使ったパンやパスタよりもごはんが
日本人の身体には合うのです。
環境風土によって育つ作物が違うように
私たちの身体も育った土地によって合うもの、合わないものがあります。
昔の人は旅に出るときに
「水が変わるから気を付けて」と言いました。
また
「三里四方のものを食べる」とも言いました。
自身の足で歩いて手に入れられるものを食べるというこの言葉、
根底には身土不二の考え方があったのです。
環境風土と調和して
「生まれ育った土地で収穫できる作物をいただく」ことが
私たちの身体には最もやさしいのです。
そして「身土不二」の考え方は
世界各国で衣食住すべてにわたっていえることなのです。