「油は体に悪いから、なるべく使わない方がいい」そう思いながらも、「では、何をどう食べればいいのか分からない」そんなふうに迷っていませんか。現在、油に関する情報はさまざまで、何を信じてよいか迷うことも多いですよね。
本記事では、日本人の食文化や油の基礎知識、実際の健康への影響、そして日々の食事で無理なく油と付き合う方法まで、具体例を交えながら解説します。
なぜ今、「油を見直す人」が増えているのか

最近、家庭の食卓やSNS上で「油」について話題にする人が増えています。きっかけは、子どもや家族の健康意識が高まる一方で、油に関する多様な情報があふれ、何を選び、どう使うのが正しいのか分からなくなっているからです。
特に、体調不良やアレルギーなど家族の健康問題をきっかけに「油抜き」や油の種類に目を向ける人が増加しています。
不調が続くと、何かをやめたくなる。原因を一つに絞りたくなる。これは、家族の健康を守りたいと思うほど、自然なことかもしれません。
ただ、そこで大切なのは、油をただ悪者にしないことです。
油を抜けばよい。
この油なら安心。
この油は危険。
そうした単純な判断ではなく、まずは日本人が昔からどのように油と付き合ってきたのかを見直すことが大切です。
四毒で「油抜き」をする人が増えている
健康意識の高まりとともに、油を「体に悪いもの」と考えて極力使わない人が増えています。特に、アレルギーや便秘、皮膚トラブルなど家族の不調をきっかけに「油断ち」や「油抜き」を実践する家庭も少なくありません。
こうした動きの背景には、「油は四毒(甘いもの・乳製品・小麦・油)」の一つとして警戒される傾向や、ネットや書籍で紹介されるデトックス法・食事制限の影響があります。
実際に、料理を煮る・蒸す・茹でる中心に切り替えたり、炒め物を避けることで症状の変化を体感する人もいますが、「油=悪」と単純に捉えてしまうことが、本当に正しい選択なのかは慎重に考える必要があります。
「オリーブオイルは健康」「オメガ3不足」…油の情報があふれている
一方で、油に関しては「オリーブオイルは身体に良い」「魚やナッツの油でオメガ3を補おう」など、積極的に摂取を勧める情報もあふれています。
スーパーやネットでは、「健康にいい」とされる油が多数並び、どれを選べばよいのか迷う声も多く聞かれます。また、「摂り過ぎると太る」「不足するとホルモンバランスが崩れる」など、正反対の意見が同時に出回っているため、結局どの情報を信じていいのか分からず、悩みや混乱が生まれやすくなっています。
家庭での油選びや使い方について、情報の洪水の中で自分に合った判断が難しくなっているのです。
本当に問題なのは、「油そのもの」なのか
油について考えるとき、私は「油そのものが悪い」とは考えていません。
問題は、油を単体でたくさん摂る食べ方が、毎日の中で当たり前になっていることです。
揚げ物。
炒め物。
ドレッシング。
マヨネーズ。
菓子パン。
スナック菓子。
洋菓子。
加工食品。
気づかないうちに、油はさまざまな形で食卓に入り込んでいます。
しかも、現代の食事では、油だけを摂っているわけではありません。砂糖、小麦、乳製品、添加物などと一緒になって、口当たりのよいものとして入ってくることも多いのです。
だからこそ、「どの油がよいか」だけではなく、毎日の食卓全体を見直すことが大切です。
日本人は、昔からこんなに油を摂っていたのか

今の私たちの食卓には、油を使った料理がたくさんあります。炒め物、揚げ物、ドレッシング、マヨネーズ、洋菓子、パン、スナック菓子。
けれど、日本人は昔からこのように油をたくさん摂っていたのでしょうか。
答えは、そうではありません。
昔ながらの日本の食卓は、煮る・蒸す・茹でる・焼く・汁物が中心でした。油をたっぷり使っておいしさを出すのではなく、素材の持つうまみ、季節の力、発酵調味料の力を活かして食べてきたのです。
煮る・蒸す・汁物中心だった日本の食文化
日本の家庭料理の中心にあったのは、ごはんと味噌汁、そして煮物や和え物です。
野菜を煮る。
豆を炊く。
魚を焼く。
味噌汁に季節の野菜を入れる。
青菜を茹でて和える。
こうした料理には、油をたくさん使う必要がありません。
むしろ、油でコクを足さなくても、素材そのものの甘みやうまみ、味噌や醤油の発酵の力で、十分に満足できる食卓が作られてきました。重ね煮も、まさにこの知恵の延長にあります。
油で炒めて香りを出すのではなく、野菜を陰陽の順に重ね、水と火の力でうまみを引き出す。そうすると、出汁を使わなくても、野菜そのものから甘みとうまみが出てきます。油でコクや旨みをつけるのではなく、素材の持つ力を引き出す。
これは、日本人の食文化の中にある、とても大切な知恵です。
油は、毎日大量に使うものではなかった
昔の日本の食卓で、油を使った料理は特別なものでした。天ぷらも、毎日の家庭料理というより、ハレの日や外食、ごちそうの位置づけでした。
もちろん、地域や時代によって違いはありますが、少なくとも今のように、毎日のように炒め油を使い、揚げ物を買い、ドレッシングをかけ、マヨネーズを使い、洋菓子を食べるという食生活ではありませんでした。
それが、いつの間にか、食卓の中で大きな割合を占めるようになりました。
だから、油を見直すというのは、特別な健康法ではありません。むしろ、日本人が昔から大切にしてきた食べ方に、もう一度戻ってみることなのです。
油とは、結局「種子や実から抽出した液体」

油というと、体に悪いもの、太るもの、控えるべきものという印象を持つ方もいるかもしれません。
けれど、油の正体を見てみると、とてもシンプルです。油は、種子や実から抽出した液体です。
ごま。
菜種。
大豆。
オリーブ。
えごま。
亜麻仁。
というように、もともとは、植物の一部です。
だからこそ、油そのものを悪者にする必要はありません。
ただし、ここで大切なのは、抽出された液体ということです。食材そのものを食べるのと、そこから油だけを取り出して摂るのとでは、体への影響が大きく違います。
胡麻油、菜種油、オリーブオイル…油の元になるもの
胡麻油は、ごまの種から搾られます。
菜種油は、菜の花の種から搾られます。
オリーブオイルは、オリーブの実から搾られます。
けれど、ごまには、もちろん油分だけでなく、ごまの香りや栄養があります。
大豆にも、油分だけでなく、たんぱく質や食物繊維があります。
魚には、脂質だけでなく、たんぱく質やミネラルも含まれています。
つまり、食材そのものには、油分だけではない、さまざまな要素が一緒に含まれています。
ところが、油として抽出すると、その一部だけを取り出して摂ることになります。
ここに、現代の食べ方を考える大切な視点があります。
本来、日本人は“食材そのもの”から摂っていた
昔の日本人は、今のようにボトル入りの油を毎日の料理にたくさん使っていたわけではありません。
脂質は、豆、魚、ごま、種実類など、食材そのものから自然に摂っていました。
たとえば、味噌汁に豆腐を入れる。
納豆を食べる。
青菜にすりごまを和える。
魚を焼く。
大豆を煮る。
こうした食べ方の中で、脂質も自然に体に入っていたのです。油だけを足すのではなく、食材丸ごと全体をいただく。
これは、重ね煮アカデミーでも大切にしている考え方です。
必須脂肪酸は、本当に「油」で摂るべきなのか
油の話になると、必ず出てくるのが「必須脂肪酸」です。必須脂肪酸は、体内で作ることができないため、食事から摂る必要があります。
そのため、「油を控えすぎると不足するのでは」「オメガ3を意識して摂らなければいけないのでは」と心配になる方もいるかもしれません。
けれど、ここでも大切なのは、どんな形で摂るかです。
昔の日本人は、今のようにボトル入りの油を毎日使っていたわけではありません。魚、大豆、ごま、くるみ、青菜、海藻など、日々の食材の中から、脂質も自然にいただいていました。
つまり、油を液体として足す前に、まず食材そのものからいただくという考え方があったのです。
ごま油を足す前に、ごまをすって和える。
大豆油を考える前に、豆腐や納豆、煮豆としていただく。
魚の油だけを見るのではなく、魚そのものを食べる。
食材には、脂質だけでなく、たんぱく質、ミネラル、食物繊維、香り、うまみなどが一緒に含まれています。
だからこそ、必要な栄養素だけを切り離して考えるのではなく、まずは食材丸ごと全体をいただくことを大切にしたいのです。
油を足すことが悪いのではありません。ただ、毎日たくさんの油を足す前に、まずは食材そのものから摂れているかを見直すこと。
この順番が、油に振り回されない食べ方につながります。
重ね煮アカデミーが考える“油との付き合い方”

重ね煮アカデミーでは、油を完全に悪者にすることはしません。けれど、健康のために油を積極的に足す、という考え方でもありません。
大切なのは、油に頼りすぎない食卓です。
油でコクを出す。
油で満足感を出す。
油で香りを立てる。
そうした料理もありますが、毎日の家庭料理が油に頼りすぎると、素材そのものの味が分かりにくくなります。
重ね煮では、油で炒めず、野菜を重ねて火にかけます。すると、野菜の水分、甘み、うまみが引き出されます。
油を使わなくても、おいしさは作れる。
出汁を使わなくても、うまみは出る。
調味料を増やさなくても、満足できる。
この体験をすると、油との付き合い方が変わっていきます。
「何の油か」より、「どれくらい使っているか」
多くの人は「どの油がよいか」に目が向きます。
オリーブオイルがよいのか。
ごま油がよいのか。
米油がよいのか。
亜麻仁油がよいのか。
もちろん、油の種類も大切です。
けれど、それ以上に見直したいのは、量と頻度です。
毎日、炒め物が続いていないか。
揚げ物や惣菜が増えていないか。
ドレッシングやマヨネーズを習慣的に使っていないか。
パンや洋菓子、スナック菓子から油を摂りすぎていないか。
家庭で使う油だけでなく、加工品や外食に含まれる油も、日々の体に入っています。
だからこそ、「いい油を選ぶ」だけで終わらせないことが大切です。
“油に振り回されない食べ方”を知る
油は悪い。
この油なら大丈夫。
この油を摂らないと不足する。
こうした情報に振り回されると、台所が苦しくなります。
家庭料理で大切なのは、特別な油を足すことではなく、毎日の食材の力を引き出すことです。
旬の野菜を使う。
ごはんを炊く。
味噌汁を作る。
豆や海藻を取り入れる。
魚を食べる。
必要なときに、少量の油を使う。
この積み重ねで、食卓は変わります。
油を抜かなければと力むのではなく、自然と油に頼らない料理が増えていく。
これが、重ね煮アカデミーが考える油との付き合い方です。
まとめ|問題なのは「油そのもの」だけではない
油についての情報はたくさんあります。けれど、本当に見直したいのは、油そのものだけではありません。
大切なのは、油に頼りすぎた食べ方になっていないかということです。
昔の日本の食卓は、煮る・蒸す・茹でる・汁物が中心でした。
豆を食べる。
ごまをすって和える。
魚を焼く。
味噌汁に野菜を入れる。
季節の野菜を煮る。
そうした日々の食事の中で、脂質も自然にいただいてきました。
油を抜くことが目的ではありません。
高価な油を足すことが目的でもありません。
まずは、食材そのものからいただくこと。
そして、油は必要なときに、必要な分だけ使うこと。
この順番を取り戻すことが、油に振り回されない食べ方につながります。
重ね煮アカデミーでは、油で炒めず、野菜を重ねて火にかけることで、素材の甘みとうまみを引き出します。
油を使わなくても、おいしさは作れる。
出汁を使わなくても、うまみは出る。
調味料を増やさなくても、満足できる。
このことを台所で体験すると、食べ方の軸が変わっていきます。
「何を食べればいいのか分からない」
「油を控えたいけれど、料理が味気なくなる」
「子どものアレルギーや便秘、体調不良が気になる」
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油に振り回されるのではなく、食材の力を活かす。
その知恵を知ることで、毎日の食卓はもっと安心できるものになります。
